-- 心弾む感覚を取り戻したい --

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ストレスが仕事

雑念。雑念。雑念・・・。

退職の決意。雑念に振り回され何もかも失うところだった

仕事のことばかりいつも考えてしまう。 ちょっと一休みする時も。家に帰ってからも。ご飯を食べている時も。お風呂に入っている時も。寝ている時も。朝起きる時も。 きまって仕事の雑念ばかり考えてしまう。 今は考えたくないから、いらない雑念なんか消えてしまえばいい。 そう思って、浮かび上がる雑念を何度も手で振り払うけれど、 次々に現れて止められない。


考えたくないのに考えてしまう仕事の雑念。 どうしてこんなにも仕事のことを考えなければならないのか? 自らの思考をどうして自由に動かすことができないのか? 私はいらないと言っているのに、不思議と勝手に頭の中を飛び回っては、私の心をかき乱す。


寝ている時でも仕事と戦っているらしく、突然怒鳴り声をあげ、殴ったり蹴ったり毎日暴れているらしい。自分ではよくわからないので妻にビデオ撮影を依頼するほどだ。 自分ではどうすることもできない雑念に悩まされ続け20年・・・。


最初のころは、それでも楽しいこともたくさんあった。 だから、悩んでも悩んでも何とかなる。そう思えたし、そのくらい誰でもあることだし、大したことない。うまくいかないことなんて当たり前の中で、みんな頑張っている。 そもそも自分でどうにかするしかない問題を解決できないのは自分が悪い。 自分の考えが。自分の思いが。自分の行動や言動が。悪い。 そうずっと思って今まで頑張ってきた。


でも、結局、雑念を消し去ることはできなかった。 よく客観的に自分を観ればいい。とか、 好きなことに没頭すればいい。とか、 瞑想すればいい。とか、 身体を動かす、大声で歌う、叫ぶ、とにかくストレス発散。みたいなことを聞くけれど、 どれもダメだった。 私のやり方が悪かったのかもしれないけれど、悪化の一途をたどる結果になった。


ご飯はおいしく感じないし、食べなければという思いから吐き気がすごくて食べ物をほとんど受け付けない。 寝るのは得意だったのに、だんだん眠れなくなった。 一睡もできなかった日々が数日続くことが増え、数カ月過ぎた時に思った。 「楽しいことなんて何もない。」 「今すぐここから逃げたい。」 「もうどうでもいい。」 無事に家に帰ってくることができなくなるかもしれない。 そう思った時に今の職場を退職する決意がようやくできた。


そう思えたのは、 いつも私の出勤前に「無事に家に帰ってきてね。」 と声をかけてくれる妻の言葉だった。 だから、何かあっても家に帰ることだけを考え仕事に行っていたのに、それができないかもしれない。そう感じた途端、急に全てを投げ出したくなった。 自分がとても怖かった。 自分でも理解できない何かに憑りつかれたかのように勝手に導かれる。 頭が。思考が。停止するような感覚。 フラフラと何もしない方向へ。何もなくなる方向へ。向かってしまう自分がいた。


それでも、その先を踏みとどまることができたのは、妻と子供たちがいたから。 妻と子供たちが私を励まそうとしてくれたから。 無事に家に帰ってくることができた。 だから、新しい道を作ることができた。 自分では、絶対に無理だと思っていた退職が実現できた。


つらく険しい道のりだった。 たかが仕事に本気で向き合ってしまっていた私。 今の場所から逃げ出すことは、本当に困難だったけど、 たくさんの人のおかげで命を繋げることができた。


退職後、なかなかすぐには実感できなかったけれど、半年経つ頃「退職できたんだ。」 とようやく感じることができた。 「40代。妻子持ち。無職。」 そんな厳しい状況でも家族は温かく迎えてくれた。


声には出さなかったけれど、とても心配だったと思う。 精一杯の気遣いと勇気をたくさんもらった。 笑顔で「大丈夫。心配してないよ。」 と安心させてくれた。 「そんなに頑張らなくていいよ。」 「焦らなくていいよ。」 「ゆっくりでいいよ。」 とやさしい言葉もたくさんもらった。


私は、今まで家族に対してそんなにやさしくできなかったのに、家族は私にくれた。 本当にありがとう。 仕事の雑念なんて、もうほとんどない。 心穏やかに過ごせている私がいる。


これからは、今までと違う生き方を。 精一杯楽しみながら頑張っていきたい。 まだまだ苦労かけるけど、よろしくね。



あじはた